
こんにちは、ふー(@dr_fooooo)です。
ぼくは医師(小児科専門医、日本医師会認定産業医)であり、このブログでは主に医療にまつわるお話をしています。
今回はこどもがよくかかる病気のお話。
夏かぜの代表的な疾患であるヘルパンギーナについてお話したいと思います。
Contents
ヘルパンギーナとは?
ヘルパンギーナは乳幼児に多く感染する疾患で、咽頭(のど)に小水疱ができるウイルス性感染症です。
「38度以上の高熱が出る」、「口腔内の口内炎と水泡」、「咽頭炎」(※潰瘍)が三症状とされており、エンテロウイルスやエコーウイルスによっておこる事が知られています。
以下のような水疱が喉にできているのが典型的な所見です。
手足口病の潜伏期間
幼児は3日から6日、大人は3日から7日程度と言われています。
ヘルパンギーナはいつ流行するの?
毎年夏に入る6月頃から徐々に始まり、7-8月頃にピークを迎えます。
学童や成人でも感染することがあります。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/herpangina/herpangina/
上の表を見るとわかるように夏場に流行が見られます。
近年は2年に1度のペースで大流行しています。
2018年は小規模な流行でしたが、2019年は大流行する恐れがあります。
ヘルパンギーナの治療
ヘルパンギーナに有効なワクチンはなく、発症後は対症療法(自然治癒を待つこと)をおこなっていきます。
こまめな水分摂取で脱水を予防するようにしましょう。
発熱や喉の痛みは解熱鎮痛薬で楽にすることができます。
また発症した場合の生活指導(家族や友達に蔓延させないため)としては以下となります。
- 手洗いとうがい
手指や咽頭に付いたウイルスを除去します。
接触感染が多いのでしっかりと手洗いをして、ウイルス量を減らしましょう。
- 充分な睡眠と食事
体力、免疫力の向上を図ります。
- タオルなど共有物をしっかり使い別ける
流行性角結膜炎(はやり目)ほどではありませんが、感染力は強いので、兄弟がいるご家庭ではタオルなどは分けたほうが良いかもしれません。
- 症状が消失後も注意する
2-4週間程度は便からウイルスが検出されます。
排泄後の手洗いは徹底しましょう!
ヘルパンギーナのどんなところに注意すべきか
喉の炎症が強いと大変な場合があります。
特にこどもの場合では、本人の拒否的な行動で水分補給が難しくなります。
また流行時期が夏場のため、どれだけ脱水を予防できるかが大事になってきます!
胃腸炎のときのように少量頻回の摂取を心がけましょう!
水分の経口摂取が基本的な治療になります。
忘れがちなのが、糖分!
こどもは低血糖になりやすく、糖分の補給が行われないとケトン体という、気持ち悪い成分が溜まっていきます。
お茶やお水を飲ませるのではなく、アクアライトのような水分や糖分、ミネラルを含んだ飲み物を飲ませてあげましょう!
飲ませ方のコツは、少量(スプーン1口)から開始して、5-10分おきに徐々に飲む量を増やすやり方が安全です。
登園・登校許可はいつから可能か?
以下のように症状が治まってきたら、通園・通学の許可をもらうことができます。
- 高熱が完全に下がった
- 咽頭部の潰瘍が治った
- 普通に食事ができる
まとめ
ヘルパンギーナは咽頭痛(のどの痛み)が強く出る子も多く、夏場に流行する疾患のため、脱水症に注意が必要です。
ワクチンはありません。
手足口病を予防する1番の方法は、手洗い・うがいです!
もし発症した場合は、脱水予防にこまめに水分摂取を行いましょう!