
こんにちは、ふー(@dr_fooooo)です。
ぼくは病院勤務をしている医師であり、このブログでは主に医療にまつわるお話をしています。
今回はインフルエンザワクチンのお話。
寒い季節が近づいてくると風邪やインフルエンザが心配になってきますよね。
特にこどもは発症すると重症化する可能性も高いため、子育てをされている親御さん達は不安に思うことも多いと思います。
またインフルエンザの予防接種を受けようかと検討される方も多いのではないでしょうか?
インフルエンザを予防する代表的な(唯一の?)方法であるインフルエンザワクチンの接種について記事にしました。
Contents
インフルエンザワクチンって毎年受ける必要があるの?
インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症を予防する手段として、毎年多くの方が接種しています。
ウイルスの型は毎年変わるため、その年の流行を予想しワクチンを作る必要があることと持続期間が短いことから毎年接種が推奨されています。
じゃあ、予想が外れたら意味ないの?
それぞれの比率が違うだけであり、効果は下がりますがまったく効果がなくなることはないとされています。
インフルエンザに感染した場合であっても重症度を下げる効果も期待できるとされているため、接種することが進められます。
こどもへの接種は?
こどもは学校などで多くの人に触れる機会が多く、インフルエンザが流行してしまうリスクはとても高いです。
毎年、日本では10人中1人以上がインフルエンザに感染するとも言われています。
現在、世界各国(日本を含む)では、生後6か月以上のこどもからお年寄りまで、全ての人に対してワクチンの接種を薦めています。
流行時に6か月未満の赤ちゃんであれば、出産前にお母さんがインフルエンザワクチンを打つ!
生後6か月未満の赤ちゃんに対しては、接種の適応がありません。
なので、おすすめなのは出産前にお母さんが打つことです!
お母さんがつくった免疫力(抗体)がおなかの赤ちゃんに届けること(移行)ができるので、生まれてくる赤ちゃんに痛い思いをさせることなく、免疫力がつきます。
10年前の論文で効果は証明されています。(N Engl J Med 2008; 359:1555-1564)
インフルエンザワクチンの接種について、ほとんどの妊婦さんは問題ないとされているので、かかりつけの先生に伺って打ってもらいましょう!
インフルエンザワクチンの接種回数とその間隔
接種回数は?
大人は1度の接種で十分な抗体を生成するとされています。
しかし13歳未満のこどもは、1回の接種では十分な抗体を生成できないため、2度の接種が理想です。
間隔は?
ワクチンの効果が出てくるまでには、接種から2~3週間必要になります。
これは体の中で抗体が生成されるまでの期間で、十分な抗体が生成されないと予防効果はあまり期待できません。
2回打つ場合は、3~4週間の間隔をあけて打つのが効果的とされています。
おすすめの接種のやり方は?
季節性のインフルエンザは通常12月末から翌年2月くらいまで流行します。
そのため、遅くても12月の中旬までに接種が終了したほうがよいです。
2回接種だと、10月と11月に1回ずつ、または11月の初めと終わりに1回ずつ接種するのがおすすめです。
もちろん全員に当てはまるわけではないので、くわしくはかかりつけの先生と相談ください。
インフルエンザワクチンの効果は100%ではない
インフルエンザワクチンの予防効果は残念ながら100%ではありません。
そのため、「ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかった」人が出てしまいます。
ちなみに最近の研究では効果は5割弱(49%、全てのタイプのインフルエンザ)で、有意差が示されています。(Vaccine. 2018 Feb 14;36(8):1063-1071. Three-season effectiveness of inactivated influenza vaccine in preventing influenza illness and hospitalization in children in Japan, 2013-2016.)
またどのタイプのインフルエンザでも、ワクチンを打っていれば入院も減らせる(≒重症を減らせる)ことが示されています。
この研究は、日本のデータで慶應義塾大学小児科が関連病院とともに行った研究です。
そのため日本人にとってはこのデータがもっとも信頼できると思います。
ちなみに、厚生労働省でもワクチンはインフルエンザを完全に予防するものではなく、ある程度発症を抑える効果があり、仮に発症しても症状が重くなりにくいとの見解です。
適切に予防するためには、ワクチンの接種に加え、手洗いやうがい、マスクなどの着用もきちんとしましょう。
インフルエンザワクチンの副作用は?
副作用として発熱や疲労感、筋肉痛などの症状が見られることがあります。
副作用が重症化する例は多くありませんが、38℃以上の発熱や強いだるさを感じる際にはかかりつけの受診をおすすめします。
効果の持続期間は?
インフルエンザワクチンの予防効果は3~5か月程度とされています。
インフルエンザが流行している期間は例年3か月程度なので、通常であればワクチンはこの期間を十分にカバーできるものと考えられます。
1回あたりのインフルエンザワクチンの値段は?
インフルエンザワクチンは保険適用外の自由診療となるため、値段は各医療機関で自由に決めることができます。
様々な値段設定となっていますが、安いからといって品質に問題があるわけではありません。
日本で使用されているインフルエンザワクチンは、全て厚生労働省の認可を受けているものになります。
値段は予防効果に影響するものではありませんので安心して下さい。
実際の金額としては1回あたり3,000円前後とやや高額に感じられますが、各自治体・教育機関などで費用の補助を行っていることもあります。
まとめ
インフルエンザは感染力が高く、毎年のように大きな流行となっています。
こどもはたくさんの人と触れる機会が多く、感染リスクはとても高いため、ワクチンを接種しての予防はとても有効な手段になります。
学校の保険だよりなどでもワクチンの接種時期を案内していますので、ワクチンの接種を検討してみてはいかがでしょうか。