
インフルエンザの流行もピークを超え、溶連菌感染症が流行り始めてきました。
子供だけではなく、大人も春から夏にかけてよくかかる感染症です。
今回は溶連菌感染症についてのお話。
Contents
溶連菌感染症とは
まず溶連菌とは、溶血性連鎖球菌の略語です。
この溶連菌に感染した状態を溶連菌感染症といいます。
どんな感染があるの?
みなさんは何となく喉の感染症というイメージがあると思いますが、実はいろんな感染をします。
咽頭炎、扁桃炎、中耳炎、下気道炎、猩紅熱(しょうこうねつ)、食中毒、皮膚軟部組織感染症、感染性心内膜炎、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(いわゆる人食いバクテリア)など
急性扁桃咽頭炎が最もよくみられる感染症ですが、人食いバクテリアになってしまい、死亡することもあります。
今回は急性扁桃咽頭炎について、詳しくお話していきます。
急性扁桃咽頭炎
どんな症状?
発熱と咽頭発赤や咽頭痛(のどが痛い)という症状で発症します。
咽頭炎のうち、溶連菌は小児の20-30%、成人の5-15%を占めています。
1-2歳の子供は扁桃腺が発達していないので、ほとんど感染しません。(保菌している子はいます。詳しくは後ほど)
のどはこんな感じ
ピンボケですが、扁桃が赤く腫れていて、白いものもあります。これは白苔(はくたい)と呼ばれる膿です。
どうやって診断するの?
迅速抗原検査という簡単に判別できるキットがあります。
特異度が95%あるので、陽性であれば精度は高いです。
治療は?
多くの場合は、ペニシリン系のアモキシシリンという抗生物質を10日間服用します。
よくセフェム系5日間でも代用されますが、セフェム系は耐性菌の問題もあるため、溶連菌感染症ではもらわないほうがよいです。
ちなみにペニシリンアレルギーの方はマクロライド系が処方されます。
登園、登校は?
抗生物質を飲み始めて24時間経てば、周りに広めるおそれはないので、熱が下がっていれば、登校可能です。
検査陽性だった!でも溶連菌感染症じゃないことも!?
「検査陽性だった。保育園でも流行ってたし、やっぱり溶連菌感染症かー。」と思ったら、実は違うこともしばしばあります。
その理由は、子供の5-10%は溶連菌を保菌しているから!
保菌とは「のどに溶連菌はいるけど、のどの腫れなどの悪さをしていない状態」です。
この状態は抗生物質を飲む必要がないです。
「保育園で溶連菌が流行っているので検査してください」とよくいわれるのですが、喉の所見がない(発赤や腫脹がない)子に迅速検査をしても意味ないです!
保菌者ののどには悪さはしてないけど溶連菌はいるので、迅速検査をすれば当然陽性になります。
陽性だとただの風邪にもかかわらず、無駄に抗生物質を10日間飲むことになります。
これってすごくもったいないことですよね。
「保育園で流行っています。(喉に所見がないけど)検査をしてほしい」は、「陽性になったら無駄に抗生物質を飲みたいです!」と同じこと。
残念ながらお医者さんでも知らない人が多くいます。
「とりあえず流行っているから溶連菌の検査しましょう」なんていう先生は、気をつけましょう!
まとめ
溶連菌はここから流行します。
が、保菌者も多い!
小児科医院やクリニックに受診するときは、「溶連菌が流行っているから検査をしてください!」というのではなく、検査されそうになったら「のどに所見があるんですか?」と聞いたほうが、子供のためですよ。
もちろん所見があれば検査してもらってくださいね。